金融庁が2023年3月3日から、M生命保険株式会社に対する立入検査が行われている。
検査の目的は、経営者向けの保険商品の販売(過度な節税目的販売ではないか)の実態のほか、
保険募集人による保険料の着服などの不祥事案による経営陣の管理・監督態勢とのこと。
検査において、保険募集人との身元保証契約を締結しているものの、法令に適合していないことから、
本人の不正防止の抑止力と企業側のリスク管理の実効性が失われている。として指摘・改善事項になっている。
保険代理店においても、金融商品、保険料(金銭)を取扱う企業が故に、身元保証契約の締結又は身元保証誓約書等の取り付けをしていることと思われるものの、身元保証契約書(誓約書を含む)は入社時に一度取り付けて終わりではないことに留意が必要である。
身元保証法という法律によって、その有効期間が定められています。
●当事者間の定めがない場合(身元保証契約書、誓約書等に有効期間の記載がない):原則3年間
●当事者間で期限を定める場合(身元保証契約書、誓約書等に有効期間の記載がある):最長5年間
となっている。今回の検査では、この有効期限の管理に不備が散見され、改善を求められている。
仮に身元保証契約書、誓約書等に自動更新の特約を記載していた場合であっても、これは無効になる。
(更新特約は認められないとの裁判例あり 札幌高裁昭和52年8月24日判決)
また、2020年4月1日に施行された民法改正で、身元保証契約書、誓約書等を取り付ける場合、「損害賠償額の上限額の設定、記載」が義務付けられた。改正後は、身元保証契約書、誓約書等に上限額が記載されていなければ、身元保証契約そのものが無効となります。
今一度、自社の保険募集人、従業員の身元保証契約書等の有効期限の確認をしてください。
万が一、期限切れとなっている場合は、改正民法に適合するよう上限金額の記載にも留意してください。
また、身元保証契約を取り付けていない保険代理の方は、これを機会に金銭費消、不祥事件の被害抑制のためにも導入検討されることをおすすめします。
体制整備外部監査