コラム

検査現場が見ている“募集品質”の実像【補論】~反響を受けて見えてきた、検査指摘の「3つの共通パターン」~

本コラムでは、全3回にわたり、「検査現場が見ている募集品質」という視点から、
保険代理店に求められている体制整備の考え方を整理してきました。
掲載後、複数の保険代理店から
「より具体的な指摘内容を知りたい」
「実際には、どこが問題にされているのか」
といった声が寄せられています。
そこで今回は、
検査の場面で共通して確認されている指摘パターンを整理し、あらためて注意すべきポイントを補足します。

■検査で指摘される「3つの共通パターン」

① 意向把握シートとシステム対応記録の矛盾
最も多く確認されているのが、書面上の意向と、実際の募集行為の不整合です。
例えば、
●意向把握シートでは
「特定の保険会社を希望していない」と記載されている
●一方で、募集管理システム上では
特定社前提の見積・提案履歴が残っている

このような場合、
「どちらが正しいのか」ではなく、管理が機能していないと評価されます。
意向把握を“書く行為”として終わらせず、
実際の募集行為と整合しているかを確認する仕組みが不可欠です。

② 誘導による「受動的な同意」
次に問題となるのが、
形式上は同意が取れているものの、実質的には誘導と評価されるケースです。
例えば、
●「この会社が一般的です」
●「多くの方が選ばれています」
●「比較すると、結局ここになります」
といった説明の積み重ねにより、顧客が自ら選択したとは言い難い状態になっている場合です。
重要なのは、同意書の有無ではなく、選択の過程が適切だったかどうかです。

③ 根拠なき提案
三つ目は、
提案理由が結果論でしか説明できないケースです。
●なぜ、その保険会社なのか
●なぜ、その商品なのか
●他の選択肢をどう検討したのか

これらに対し、
「総合的に判断した」
「お客さまに合っていると思った」
という説明しかできない場合、
根拠が不十分と評価されます。
提案の正否ではなく、
判断に至る根拠が記録・説明できるかが問われています。

■推奨販売方針の「今」と「これから」

ここで重要になるのが、
推奨販売方針の使い方です。
<2026年5月31日までの考え方>
現行の法令・監督指針の枠組みでは、
●代理店としての推奨方針を明確に定め
●その方針に沿って募集を行い
●顧客に対して、その理由を説明する
という整理で対応が可能です。
この前提に立つ限り、推奨販売方針は、募集判断の「軸」として機能します。
<2026年6月1日以降に変わる前提>
一方で、
2025年12月17日に 金融庁 から公表された
監督指針の改定案では、推奨販売を巡る考え方が大きく変わる方向性が示されています。
施行が予定されている、2026年6月1日以降は、
●方針を定めているだけでは足りない
●実際の募集ごとに、判断の妥当性が検証される
●「なぜその推奨に至ったのか」をより具体的に説明・記録できること
が、これまで以上に重視されることになります。
つまり、
推奨販売方針は“免罪符”にはならなくなる
という点を、今から前提として考える必要があります。

■これから求められるのは「検証可能な募集」

今後の募集品質管理では、
●意向把握と募集行為の一貫性
●同意取得の実質的な妥当性
●提案判断の根拠の明確化
これらを、
後から第三者が検証できる形で残しているかが重要になります。
形式的に整っているかどうかではなく、説明できるかどうかが、評価の分かれ目になります。

<LEGALからの補足>

当社では、顧問契約を締結している保険代理店に対し、
●金融庁検査の実態を踏まえた詳細な解説資料
●検査で確認されやすい論点の整理
●今後の法令・監督動向を踏まえた体制整備の考え方
を、継続的に提供しています。
募集品質や推奨販売方針について、
「今のやり方でどこまで通用するのか」
「施行後に何を見直すべきか」
といった点を整理したい場合、
早めの点検が有効です。