近年、保険代理店を取り巻く環境の中で、「募集品質」という言葉の意味は、大きく変わりつつあります。かつては、丁寧な説明を心がけているか、苦情を起こしていないか、といった現場対応の良し悪しとして語られることが多かったテーマでした。
しかし現在、募集品質は保険代理店経営そのものに直結する管理テーマとして扱われています。
■募集品質は「姿勢」ではなく「管理の結果」
いま問われているのは、募集人一人ひとりの心構えや経験値ではありません。
●募集の流れは整理されているか
●判断基準は明文化されているか
●記録は後から検証できる形で残っているか
●管理責任者は実態を把握できているか
つまり、
組織として募集行為を管理・統制できているかどうかが評価対象になっています。
「ベテランが多いから大丈夫」
「今まで問題が起きていない」
こうした考え方だけでは、もはや説明が成り立たない局面に入っています。
■問題視されるのは「悪質な行為」だけではない
実際に確認されている指摘内容を見ていくと、
意図的な不正や、明らかな違反行為ばかりが問題になるわけではありません。
むしろ多いのは、
●良かれと思って続けてきた対応
●顧客サービスの一環として定着した慣行
●忙しさの中で曖昧になっていた運用
といった、日常業務の延長線上にある対応です。
これらが、
「ルールとして整理されていない」
「管理者が把握できていない」
「検証の仕組みがない」
という状態で続いている場合、募集品質上の課題として整理されることになります。
■「結果」ではなく「過程」が見られている
重要なのは、事故や苦情が起きたかどうかではありません。
●なぜ、その提案に至ったのか
●どのような判断基準があったのか
●誰が、どの段階で確認しているのか
この過程を説明できるかどうかが、評価の分かれ目になります。
言い換えれば、
「特に問題は起きていない」という理由だけでは、募集品質が担保されているとは判断されません。
■募集品質は、現場任せでは守れない
募集品質の問題は、募集人個人の注意や努力だけで解決できるものではありません。
●規程は、実務に即した内容になっているか
●記録は、形だけになっていないか
●管理責任者の関与は、形式的になっていないか
これらはすべて、経営と管理の領域に属する課題です。
もし、
●規程はあるが、実際の運用が見えない
●記録は残しているが、検証したことがない
●募集の良し悪しを感覚で判断している
といった状況に心当たりがある場合、一度立ち止まって整理する必要があります。
<次回予告>
次回は、
「指摘は、募集人ではなく『管理の仕組み』に向けられる」
というテーマで、
●なぜ個人の問題で終わらないのか
●管理責任者・経営層が見られているポイントは何か
を、さらに具体的に掘り下げます。
※ 本コラムは全3回シリーズの第1回です。
第2回・第3回では、より踏み込んだ視点から、募集品質と体制整備の実像を整理していきます