平成26年改正保険業法で新たに定義付けされた「募集関連行為従事者」
不動産会社が火災保険の加入で入居契約者を紹介してくれるケースや、税理士事務所が税対策、福利厚生のひとつとして生命保険の加入でクライアントを紹介してくれるケースなど、いわゆる見込顧客の紹介をしてくれる第三者、提携先がこれに該当する。
1.管理・監督義務
募集関連行為従事者は一切の保険募集行為行ってはならないため、保険募集人(保険代理店)がその行為を管理、監督、指導しなければならない義務を負っている。
しかしながら、改正保険業法施行から6年が経過しても、この管理、監督、指導の義務があることを認識していない。または認識していても管理、監督のやり方が間違っている保険募集人(保険代理店)が未だ存在している。
ここで特に注意しなければならないことは、募集関連行為従事者への紹介料(手数料)である。
当該保険契約で保険代理店が得られる手数料の50%以上を募集関連行為従事者へ支払うことはNGとされている。手数料を支払う保険代理店は意向把握からプラン設計、申込手続きを行うに対して、募集関連行為従事者はただ見込顧客を紹介するだけ。単に手数料ビジネスの観点からは問題ないようにも思えるが、保険業法、保険募集の観点から考えると、「同じ手数料割合であれば、受け取る募集関連行為従事者側も保険募集人資格を有して対応すべき」と判断されている。
2.財務局による保険代理店への立入検査での指摘事項
実際、財務局による保険代理店への立入検査において、上記のケースに対して「貴保険代理店は保険募集業務ではなく、手数料ビジネスが主体なのか。紹介者(募集関連行為従事者)」と問われ、指摘、課題事項として取り上げられ、最終的に改善事項とされ、「手数料率を40%以下」に見直した事例がある。要するに保険代理店が保険会社から受け取る代理店手数料の50%を募集関連行為従事者へ支払うことは、当該募集関連行為従事者へ保険募集の潜脱行為を助長させることにつながるばかりか、業界全体に無資格者を横行させる原因につながると言われたのも事実である。
なお、「保険代理店が受け取る手数料の40%」の割合に改善したとはいえ、当局の反応はあまり良いものではなかった。そのこともあり、現在では「保険代理店が受け取る手数料の30%」が平均的になってきている。
保険募集人(保険代理店)にとっては、生命保険販売時の手数料は高額になるケースがあるため、特に十分な注意が必要といえる。改めて自社の募集関連行為従事者の存在を調査し、存在していた場合には、改正法、監督指針に基づいた「適正な」業務提携契約書を作成、締結し、募集関連行為従事者管理規程に基づいた管理、年1回のモニタリング等を行うことが大切である。
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